アンテナから300MHzが輻射?
ラジオライフ(三才ブックス)のラジオ受信バイブル2021 (一月末発売)を読みました。その中にカラー企画で「●広帯域受信機HRD737のラジオとしての実力]としてHRD-737が紹介されています。
記事の中で気になる記述を見つけました。受信用ICはAKC(旭化成マイクロとの関係が不明)製のSDRであるAKC6955(DSP6955とも言うようです)らしいが、エアバンドを受信するために150MHz水晶発振回路を使いダウンコンバージョンしてしているらしいとのこと。(150-137=13、150-118=22MHzなのだろうか)そしてこの局発基本波とその2倍波300MHzがアンテナに漏れているようなので、HRD-737は飛行機の中では使わない方がよいとのアドバイスです。
AKC:何石科技有限公司
えーー、これは大変大変。受信機の局発漏れがアンテナから輻射されるとは、どれだけのレベルがあるのだろうかと心配し、モニターしてみることにしました。
手元にあるHRD-737はロッドアンテナを取り外し、SMAコネクタ化したものです。アマチュアスペアナのGiGaStV4.0に繋いでみました。
ところが、次のように150MHzや300MHzはノイズフロア以下みたいで見当たりません。その替り観測帯域23-523MHzの範囲で強力なのは217MHzです。150MHzの1.5倍なら225MHzになるんですがね・・。
この217MHz、ちょっとやばいですね。このRFレベルで利得あるアンテナ(200MHz付近で半波長ぐらいのアンテナ2.14dBi)につなぐと電波法上の微弱無線局のレベルに近い輻射が出ますアンテナから出ることになってしまいます。
総務省の電波法解説では3mで500μV/mの基準を超えると免許必要となります。
なお、上の表にあるように322MHzを超えると35μV/mときびしくなります。
322MHz以下での微弱無線の目安ですが、アンテナに半波長ダイポールアンテナを使った場合、3mで500μV/ mの電界強度を出すためには、換算すれば、アンテナ電力50nW(0.00005mW=ー43dBm)だそうです。この測定値-48dBmを特性の良い半波長アンテナにつなぐとアウトのレベルです。
しかし、周波数関係からあるいはRL指摘の150MHz局発がらみなのにおかしいなあ。
ところが、HRD-737との接続ケーブル外しましたが、変わりません。なんだ、217MHzはスペアナの自己スプリアスでした。青輝線が外した時、黄色がつないだ時です。よかったよかった。はやとちり。
アンテナ端子測定(ロッドアンテナ外し、SMAコネクタ改造機)ではRL記事が指摘する輻射は見当たりません。局発がアンテナから輻射しれいると言うのはないようです。一安心。
でも何かしらあるのではと思い、今度はスペアナ入力端子に手元2m用短縮アンテナ付けてHRD-737ボディにかざしてみました。
青輝線が外した時、黄色がボディにアンテナ(2mトランシーバー用短縮アンテナ)を近づけた時です。
確かに300MHzがでています。ケースがプラスチックで金属シールドされていないので回路基板・部品からRF信号が漏れてきているようです。なるほど、この局発漏れ信号が別のレシーバーで受かったのでしょうか・・。
さて、結論ですが、HRD-737はプラスティックケースのため、回路基板は金属シールドされていないので、局発の高調波300MHや450MHzなどの漏れがあり、ほかの無線機に近づけると影響が心配されます。なお、この局発はバンド切り替えと関係なく電源入れたら常に発振しているようです。
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